『日本沈没』(1973)を観る【その1】:始発点

意見書は3つある。

『ひとつは日本民族の一部が何処かで新しい国を作るために』

『もうひとつは各地に分散し、その国に帰化する為に』

『もうひとつは何処の国にも入れられない人のために』


D2(ディザスター2)計画の基本要綱『日本民族の将来』には3番目の意見書とともに同封されていた突飛も無い意見書が。

『このまま何もせぬ方がいい。一億一千万の人間がこのまま海に沈んでしまう方が日本および日本人にとってとても一番いいことじゃとな』。

調査を主とするD1計画のシミュレーション結果では日本列島崩壊は312・54日後。つまり10か月しか残り時間が無い。たった2週間で国土から避難の準備や政府統制の用意などしなければならない。その果て、国土を失った日本人は歴史から抹殺されてしまうのか?

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さて、前置きが長くなってしまいました。今回は『日本沈没』(1973)を取り上げたいと思います。今回は第1回ということでプライマル・スクリーム程度の感じです。



最近の北朝鮮情勢でついに『武装難民』に関する発言が出た。戦乱や混乱に乗じて元兵士などが難民に混じり密入国するパターンは世界的によくあること。谷 甲州が小松左京と共同執筆の形で出版された続編『日本沈没第二部』では世界に流出した6400万ものの難民・帰化人・国連軍に再編入された日本人の一部の視点から行く末が描かれた。前作の主人公・小野寺は武装して抵抗活動をする有様。のちに彼は玲子と世界の何処かでついに再会を果たす。


昨今の世界情勢を鑑みると嫌でもこの作品を連想する。


いきなり知らない土地へ放り出されるとどうなるか?一種の文芸的実験だったのかもしれない。



地質学的な話に変わると、現実では本当に『日本沈没』では起こり得るのか?その問いはYesでありNoである。未来の日本の地質は予言できない。可能性を語ることは充分出来る。

Yesの場合だと2016年に発生した小笠原海域を震源としたM8.1の最深発地震によってマントルスラブが下降して日本列島を構成するプレートの引き込みが始まったとする説。

そして、Noの場合は大陸の巨大合体。日本は沈まず、大陸にサンドイッチとなるパターン。どちらにしても日本の国土と領土は壊滅的打撃を受ける。

永遠にこの論議は終わらないかもしれない。何かが起こらない限り。ロードショー公開中でもこの類の質問が多かったとか。10億年単位の時間をかけなければ分からない。当時も今も結論は変わらない印象を受ける。

中公新書『日本軍兵士』を読み始めている。凄惨・熾烈を極めるアジア・太平洋戦争。その犠牲者は310万人。そして『日本沈没』における第二次関東大震災における犠牲者は360万人(一色漫画版では500万人)と見積もられている。

類似した犠牲者数、何か思惑を感じ得ない。そう、原作者・小松左京のメッセージを。ここではあえて書かないが、犠牲者数をヒントに考え当てて欲しい。


『日本沈没』に関しては数回に分けてアップさせていただきます。次回は作品の顔役とも言うべき深海潜水艇・わだつみを取り上げたいと思います。
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